2021.10.2
企業がTikTokを活用するための戦略について考える
うちの会社ではすでに他のSNSも運用をしているんですけど、TikTokは他のSNSとは違った活用方法があるんでしょうか?
SNSはすべて同じもののような気がしてしまうかもしれませんが、アルゴリズムもユーザーの傾向も異なります。
それを理解した上でうまく運用すれば、他のSNSとの相乗効果も期待できるツールなんです。
年代問わず、「SNSで商品・サービスを知り」「SNSで情報を集めて比較検討し」「自らも購買後の体験や感想をSNSで発信する」というSNS消費時代(※)が到来しています。(※『「3つのF」が価値になる! SNS消費時代のモノの売り方』著者の藤村正宏氏が提唱)
情報は企業が一方的にPRするものではなくなり、個人の意見がSNSを通じて鎖のようにつながって拡散されていき、それは企業広告よりも優先度・信頼度ともに高くなる傾向にあるのです。
これまでテキストや静止画がメインだったSNSは、5Gの普及によって音声や動画へと変化していき、その中でも今急成長しているTikTokを活用した企業・ブランドのPR戦略について考えていきましょう。
TikTokと他のSNSとの違い
他の主要SNSとの違いは、以下のようになります。
①アルゴリズムの違いによる拡散性の違い
根本的にアルゴリズムが他SNSと異なるため拡散性が高い。また、拡散確率も高い。
②他SNSへの相乗効果が見込める
アカウントへの他SNSのリンクが行えるため、投稿が拡散されれば流入が見込める。
③企業の参入が少なくブルーオーシャン
SNSを扱う企業が増えている中、TikTokには手を出せていない企業が多数。
主要SNSの役割整理
- コミュニケーション型:テキストがメイン 共感型
- 投稿形式:ストック型 アルゴリズム:フォロワーにリーチ ⇒リツイートされると拡散 (フォロワーを積み上げるとEGMが得られる)
- 拡散性:強
- 投稿内容:CP情報
- SNS役割:既存顧客への情報を発信するプラットフォーム
- KPI:フォロワー数 EGM
- コミュニケーション型:画像>動画 映え、憧れ
- 投稿形式:ストック型 アルゴリズム:フォロワーにリーチ ⇒EGMが高いとさらに拡散 (フォロワーを積み上げるとEGMが得られる)
- 拡散性:中
- 投稿内容:CP情報
- SNS役割:既存顧客への情報を発信するプラットフォーム
- KPI:フォロワー数 EGM
- TikTok
- コミュニケーション型:動画 共感型
- 投稿形式:フロー型 アルゴリズム:一定数の興味関心層にリーチ ⇒EGMが高い投稿がさらに拡散 (フォロワー数に依存せず、コンテンツ次第でバスることができる)
- 拡散性:強
- 投稿内容:写真では伝わらないような商品・サービスの情報、関連コンテンツの動画
- SNS役割:潜在顧客へのアプローチ (今までTwitterやInstagramでは伝わらなかった内容を発信)
- KPI:動画視聴回数 EGM
企業のSNSアカウントとしてTwitter・Instagram・TikTokを比較した場合、Twitter・Instagramは顕在顧客向け、TikTokは潜在顧客向けとして役割分担することで、相乗効果が期待できます。
InstagramとTikTokは似ている印象をお持ちの方は、ぜひこちらのコラムもご覧ください。
合わせて読みたい
同じSNSだけど?TikTok(ティックトック)とInstagram(インスタ)の違いを解説
TikTokの仕組み
TikTokの仕組みとして一番重要になるのが、アプリを開くとすぐ表示される「おすすめ(レコメンド)」の動画です。
これはTikTok独自開発のシステムで、ユーザーの閲覧情報・いいね履歴をもとに、そのユーザーが好みそうな動画を配信しているフィードになります。
アカウントにフォロワーが少ない状態でも、「おすすめ(レコメンド)」に表示されることで多くのユーザーに見てもらえる可能性が増えるのです。
例えフォロワーが0だったとしても投稿した動画は一定数のユーザーに必ず表示され、その反響データをもとに、良い反応であれば他のユーザーにも配信されていきます。
つまり、面白い動画を投稿して多くのユーザーに見てもらえれば、そこから一気にフォロワーが増えるチャンスもあり、他のSNSアカウントにも影響を与えることができるのです。
レディースアパレルブランド「ROYAL PARTY(ロイヤルパーティー)」の事例
レディースアパレルブランド「ROYAL PARTY(ロイヤルパーティー)」 はTikTokアカウント運用開始から2ヶ月でInstagramのフォロワー数が5,000人も増加しました。
要因は、TikTokで動画がバズり新規ユーザーがTikTokからInstagramに流入したためです。また、動画がバズった日には、ECサイトへ新規2,000セッションの流入も獲得しました。
TikTokの中だけで完結するんじゃないんですね!
そうなんです。
ユーザーは気になるアカウントを見つけたとき、もっと多くの情報を集めるために他のSNSもチェックしています。
そこで商品の購入を検討したり、ブランドのファンになったりするんです。
企業がTikTokを活用するための戦略
自社の現状と、競合・同業についてリサーチする
自社の「企業名」「ブランド名」「商品名」それに関連するキーワードで検索をしてください。
すでにユーザーが投稿している中で商品レビューや意見があった場合には、投稿する動画のネタや、商品開発・カスタマーサービスにも活かしていくことができるでしょう。
静止画では表現しづらい部分も、動画になると分かりやすくなったり温度感が伝わってきたりするものです。
同じように競合・同業についてもリサーチすることをお勧めします。比較レビューやランキングはTikTokでもよく投稿されているコンテンツの一つです。
競合・同業のアカウントや、気になる企業アカウント、成功しているアカウントなどをフォローしておくと関連する投稿がおすすめ(レコメンド)フィードに表示されるようになり、探してもなかなか見つからないような参考動画が見つかるようになります。
企業アカウントでのフォローが難しい場合には、リサーチ用のアカウントを持っておくと良いかもしれません。
ターゲットを想定する
投稿する動画を制作する前に、どんなユーザーに見てもらいたいのか想定しましょう。
また、動画からどんなメッセージを受け取ってほしいのか、どんな気分になってほしいのかなども想像していくとコンテンツ制作のベースが固まっていきます。
ただし、他のSNSの内容をそのまま流用するとユーザーにウケない可能性があるので注意です。
それぞれSNSにはユーザーの傾向があり、TikTokユーザーは「面白いもの」「興味がわくもの」「共感するもの」を好む傾向にあるため、Instagramのような「雰囲気がオシャレ」「スタイリッシュでかっこいい」というものは目に留まらずそのままスクロールされてしまうでしょう。
TikTokではユーザーが「面白い」「マネしたい」「もっと知りたい」「共感する」という動画のほうがバズる可能性が高く、バズるとSNSやインターネット関係なく大きな影響を与えます。
合わせて読みたい
TikTokで無名の企業やサービスがバズった事例をご紹介
投稿するコンテンツについて
投稿のアイディアとともに、TikTokで用意されている人気フィルターやエフェクト、使用可能楽曲なども調べておきましょう。
撮影時の音声のみでも投稿することは可能ですが、ブランディングやユーザーに楽しんでもらうためには音楽を挿入することをお勧めします。
時々ユーザー側から「BGM無しで見たいです。」というリクエストコメントが届くことがあるかもしれませんが、そのときには要望に応えてあげるとユーザーとの親密度アップにつながるでしょう。
SNSは双方向のコミュニケーションが可能なため、企業SNSでは「ユーザー(顧客)との関係性を育てましょう」というようなことが言われますが、TikTokはとくにコメント欄も含めてコミュニケーションツールとして重要な役割をもっています。
コンテンツ例
【例1】お子様向けフォトスタジオ
お子様向けフォトスタジオはターゲットが明確に決まっているため、「基本コンテンツ+TikTokとの相性」で動画内容を検討すると良いでしょう。
コンテンツ例
①実際の撮影風景の動画
②子供が泣き止む裏ワザ紹介動画
③子育てTips動画
①は実際に利用した場合のイメージが浮かぶようにという目的以外にも、お子様動画がTikTokで人気コンテンツのため多くのユーザーに好まれる動画としてTikTok側に認識される可能性があります。
②は実際にご家庭で試せるようなものであれば「やってみた動画」に展開してバズるかもしれません。有名なネタだと「反町隆史のポイズンで赤ちゃんは泣き止むのか」という動画があり、「#反町隆史のpoison」でタグの総再生回数が84.5万回を超えるほど話題になりました。
②③はブランディングや信頼性アップにも役立つので定期的にアップするのがお勧めです。
【例2】家庭用洗剤、収納用品メーカー
TikTokでは今、リストック収納動画が人気コンテンツです。
リストック収納とは詰め替え商品を補充することで、通販で購入した商品が届き、梱包を解いてから家庭にあるオシャレな容器や棚にテンポよく移し替える動画が、ASMR効果と美しく整理整頓されていく様子が人気となり「#Restock」のタグでは総再生回数が約42億回にまで上っています。
コンテンツ例
①リストック収納動画でビーズ型の洗濯洗剤を補充する
②部屋の片づけを当事者目線で撮影して早回しするビフォーアフター
リストック収納動画はいわゆる「フォーマット化」しているため、多くの投稿がありますが、その分多くのユーザーにも届きブランド認知度アップにつながる可能性があります。また特別な材料なども必要ないため、家庭用洗剤や美容・コスメ、収納用品の企業はリストック動画にチャレンジしてみるのも良いのではないでしょうか。
【例3】シーズンに関わる商品
一年中で多くの人がワクワクするイベントといえばクリスマスですが、クリスマスだからといって限定された期間しか投稿しないのは勿体ないです。
コンテンツ例
①クリスマスまでのカウントダウン動画
②クリスマスレシピを作って食べる様子
まったく関係のない季節に見ても、ワクワクする気持ちを思い出して気分がリフレッシュするような動画であれば、ユーザーに好まれて話題になるかもしれません。
まずは運用、そしてデータ分析
企業がTikTokを活用するためには、「どんな人に見てもらいたいか」+「TikTokユーザーの傾向」を把握しておくことが大切です。
これまでのSNSとは仕組みが異なるTikTokでは、社内で考えていた反応とは違ったデータが見られるかもしれません。
例え時間がかかったとしても、動画投稿してデータ分析をしてみることが後々の運用にとって良いヒントを得られます。
分析の方法やコンテンツのアイディアなどが分からないために、手を付けるのを後回しにするのは惜しいツールです。そんなときにはぜひstudio15にご相談ください。
studio15編集部
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