弊社事例
2021.9.29
そろそろ来る!?TikTok✕ECをブレイクさせる「コマーサー」とは?
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TikTokでEC機能が追加されるって聞いたんですけど、楽天市場やAmazonなどのモールとは何が違うんでしょうか?
これまでECサイトでは商品画像で確認して購入するのが主流でしたが、今後その流れは変化していきます。
TikTokのEC機能では「コマーサー」が大きな役割を担うと言われているのです。
商品画像(静止画)から動画に流れが変わることで、「コマーサー」が大きな役割を担うようになります。
TikTokのEC機能本格導入を控え、この「コマーサー」が今注目を集めているのです。
「コマーサー」とは?
「コマーサー(commercer)」は直訳すると「取り引きをする人」ですが、IT用語では「ライブコマースを含むEコマースに特化した配信者」のことを指します。
ライブコマースというのは、視聴者がリアルタイムで配信者に質問をしたり、コミュニケーションをとりながら商品やサービスの良さをアピールする販売形態で、視聴者は配信画面から直接商品を購入することができる仕組みのこと。
これまで配信者は、商品やブランドへの理解が深い社員であったり、SNSで有名なインフルエンサーやテレビタレントが起用されることがほとんどでしたが、今「コマーサー」という役割をメインに担う配信者が求められています。
ライブコマースとテレビ通販との違い
ライブコマースに似た印象のものとして、テレビ通販(テレビショッピング)があります。
テレビ通販はわざわざ時間を確保して番組をみるというよりも、「チャンネルを変えているうちに気になる商品があった」「テレビをつけっぱなしにしていたら深夜の通販番組が始まった」など、受け身の状態で情報に触れることが多いのではないでしょうか。
それと比べると、ライブコマースは視聴者が「情報を取りに行っている状態」のため、双方のコミュニケーションを介すことで商品へ理解や、購買意欲の促進につながります。
企業規模で「コマーサー」育成を展開する流れも
今年の3月、株式会社アイレップ(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:高梨秀一、以下アイレップ)は、株式会社321(本社:東京都渋谷区、代表者:菅本裕子、以下321)と提携し、クライアント企業の新たなEC進出を支援するライブコマース事業と、「コマーサー育成プロジェクト」の開始を発表しました。
「コマーサー」人材はEC市場の成長に追いついておらず、まだまだ不足しているのが現状です。株式会社アイレップでは商品紹介の際に「SIRRAS(サイラス)モデル」というフレームワークをつくり、コマーサー育成に活かしています。
商品紹介の流れ
アイレップの「SIRRAS(サイラス)モデル」Show・・・
商品の全体像、ディティールをしっかり見せる。尺は長めに。Image・・・
材質や使用感など視聴者に着用のイメージをもたせる。
視聴者の購入における判断材料を増やしてあげる。Response・・・
視聴者の疑問を即座に解決してあげる。Repeat・・・
必要な情報は繰り返し伝える。今見に来た人も多数いる。Activete・・・
購入を迷っている人の背中を押す一言。クーポン。Shere・・・
配信終了後のストーリーズやアーカイブへの誘導。
使った感想に関する視聴者とのSNSコミュニケーション。
従来のEC(Electronic Commerce)とライブコマースの違い
ライブコマースは文字通りライブ配信(生放送)なので「配信の時間」があります。
ショップを回遊して商品を見て回るという従来のスタイルではなく、視聴者は注目している商品の情報を取りに行くモチベーションがあるのです。
また、配信中は他の視聴者のコメントも読めるので、様々な意見や熱量に触れることができます。
販売する側の注意点として、配信の時間があるということは購入される時間帯が集中することになるのと、「人」がライブ配信することで誤った情報や印象を与えてしまう可能性があるなど、様々なトラブルに対応できるようにしておくことも大切です。
これまでのECが抱えている「問題点」
静止画のため思っていた素材感やカラーと違う
「商品画像で見た洋服はオシャレで素敵だったのに、実際に自分が着てみたらイメージと違う」ということは、EC利用者であれば誰でも一度は経験があるのではないでしょうか。
商品紹介ページではスタイル抜群のモデルが着用していたり、専用のスタジオで撮影されているため、「リアル」とはほど遠くイメージとのギャップに落胆することがあります。
悪質なレビューにも大きな影響を受ける
レビューは実際の購入者からの感想なので、商品購入時の検討材料として重要な要素ですが、一方的な低評価や悪意のあるコメントが紛れ込んでしまうという問題があります。
ユーザーは情報を受け取る手段が商品ページしか無いのでレビューを確認し、少しでも「ちょっと違うかも」と思えば購入をやめるキッカケになってしまうでしょう。
集客が難しい
自社サイトでECを運用する場合、楽天市場やAmazonなどのモールと比べて集客が難しい問題点があります。
SEO対策やこまめなメンテナンスを行ってもアクセス数の伸び悩みは解決が難しく、モールに出店したとしても手数料が高い、広告を出せばコストがかさむといった他の問題がでてくることも。
TikTokのEコマースでは、上記のような従来のEC運営の悩みを解決できる可能性があるのです。
TikTok×EC
2020年10月、TikTokはShopifyとの連携によってECに活かせるようになると発表しました。
これによって世界で170万人以上の規模を誇るShopifyを利用する事業者は、TikTok上で簡単に広告を配信したり、商品を紹介できるようになり、良質なTikTokユーザーにアプローチできるようになります。
TikTokのコマーサーが求められるもの
TikTokの特性上、フォロワーの多さはあまり関係ないとされています。重要なのは「どれだけ熱量をもって魅力を伝えられるか」「商品をしっかりと理解しているか」ということ。そのため、これまでのPR案件とは異なり「商品を手にもって笑顔の写真を投稿する」ような手法とは一線を画すものになります。
コマーサーは「コミュニケーション力」が大きなポイントです。視聴者がコメントをした際に、その意図をくみ取って分かりやすく説明することで、商品の魅力を正しく視聴者に伝えることができます。
「人格」もコマーサーの魅力のひとつ。
商品説明が上手いこと、コミュニケーション力があることはもちろん重要ですが、「その人から買いたい」と思う心理になるには好意や共感が影響します。「コマーサーを応援するために購入した」という人も、実際にいるようです。
ECはユーザーが店舗に足を運ばなくても商品のことを知ることができ、実際の店舗が遠かったとしても商品を買うことができるというメリットがありますが、そこに新たに「コミュニケーション」の要素が加わることで購入への後押しにつながる可能性を秘めています。
TikTokはSNSがベースなので、モールなどで商品を探す顕在顧客とは異なり、まだ需要が潜在的な顧客が多く存在している場所とも言えます。
今まで獲得できなかった購買層にアピールすることができるチャンスとなるでしょう。
相性の良い商品
コスメ関連グッズ
普段TikTokの動画投稿で上がっているものが、商品としての相性も良いのではないでしょうか。
コスメ関連グッズは、一般的な使い方に加えて、オリジナルの使い方をしている人も多く、動画投稿では多くの反響を呼びます。
例えば、本来はリップとして使うアイテムをチークとして使ってみるといった応用アイデアや、「●●系メイク」などメイク方法自体の紹介に商品紹介を交えても良いでしょう。
調理家電
クッキング動画も多く投稿されるTikTokでは、調理家電との相性も良いでしょう。
「おうちでペッパーランチ」で使われるホットプレートをはじめ、調理のビフォーアフターを見せることで興味をひき、視聴者に「自分でも作ってみたい」と思ってもらえれば購入につながるのではないでしょうか。
訳アリ商品
商品の質に問題が無くても売ることが難しくなってしまう訳アリ商品は、きちんと理由を説明することができるライブコマースと相性が良いのではないでしょうか。
配信を通して正しい情報が伝われば、ユーザーの不安解消にもつながります。
投稿者の商品紹介が売り上げにつながった事例
QB薬用デオドラントクリーム
ワキガ対策として紹介したQB薬用デオドラントクリームの動画は約17万ものいいねがつきました。
投稿者が薬剤師の方のため、コメント欄では質問や相談が寄せられるなど多くの反響の様子も伺えます。
シカデイリースージングマスク
TVコスメティックスのシカデイリースージングマスクは、ひとりの投稿者というよりは、複数の投稿者からの支持を得てたくさんの商品レビュー動画がアップされました。
敏感肌にもおすすめできるデイリーユースの保湿マスクとして爆発的な人気となり、「#シカデイリースージングマスク」での投稿は約150万件にも上ります。
メラノCC
ロート製薬のメラノCCはシミ対策・ニキビ跡対策としてTikTokで話題になり、「#メラノcc」のついた投稿は約1,710万件という圧倒的な数字に。他の商品と組み合わせた動画や、メラノcc商品それぞれの特徴を丁寧に紹介した動画が数多く上がっています。
毛穴撫子
詳細に成分や効果などを紹介する動画もありますが、実際に使って見せることで商品の良さを伝えられるのも動画のメリットと言えるでしょう。
毛穴ケア商品として人気の毛穴撫子はTikTokでも話題になり、「#毛穴撫子」のついた投稿は約2,570万件に。
「毛穴かくれんぼコットン」という商品は、スプレーで出てきた泡がふわふわの冷たいコットンに変化する様子が面白く、動画投稿の「ネタ」としても楽しめる商品となっています。
今後市場はどのように変化していくのか
2020年は新型コロナウイルスの影響を受けて、EC市場は大きく成長しました。総合マーケティングビジネスの富士経済が発表した通販・ECの国内市場調査「通販・e-コマースビジネスの実態と今後 2021」によれば、2021年の通販・EC市場の規模は15兆1127億円、2022年は16兆4988億円(2021年比で9.1%増)にまで拡大すると予測されています。
ライブコマースは「ただの買い物」ではなく、商品を購入するまでのプロセスも楽しむ、いわゆる「体験」がポイントになります。「何を買うか」「どこで買うか」に加えて、「誰から買うか」も選択肢のひとつになっていくでしょう。
販売する側も「ただ商品を売る」だけではなく、ユーザーがどんな経緯をたどって、どんな感情を抱いて購入するのかまで設計できれば、ライブコマースはひとつのエンターテイメントになるかもしれません。
ただ、過去にライブコマースのサービスがリリースされた際に、開始からわずか1年ほどで終了になったサービスもあるため、課題を洗い出して改善していくことが当面の目標となるかもしれません。
5G時代にも突入して動画へのハードルがどんどん低くなり、動画×SNS×ECの成長は今後も注目を集めて行くことになるでしょう。
studio15では、TikTokのクリエイタープロダクション事業を行っています。商品のPRを任せるクリエイター、コマーサーをお探しでしたら、ぜひお問い合わせください。