コラム
2025.12.3
2025年まとめ:TikTokで起きた出来事をマーケター目線で振り返る
なぜ今、2025年のTikTokを振り返る必要があるのか
studio15でマーケティングを担当している阿部です。
2025年11月27日、日本におけるTikTokの月間アクティブユーザー数が4,200万を突破したという発表がありました。また、2025年6月4日に公開された「TikTok Socio-Economic Impact Report」によると、2024年時点で国内名目GDPに4,855億円貢献したといわれており、トレンドを生み出すだけでなく、新たな市場価値を生み出すプラットフォームとして定着しつつあります。
さらに、EC機能「TikTok Shop」や、宿泊予約サイトへの誘導が可能な「TikTok GO」のような動画やLive配信コンテンツをマーケティング活用できる新サービスも続々と日本でローンチされており、「来年こそTikTokを活用したマーケティングを行いたいが、現在のトレンドや自社にフィットする取り組みがわからない。」と考える企業担当者様も多いのではないでしょうか。
本記事は、2026年のSNSを活用したマーケティング戦略を構築するにあたり、参考となる情報、2025年にTikTokで起きたプラットフォームの重大な変化、コンテンツトレンドの変化などを企業マーケターの目線でご紹介します。
2025年TikTokの巨大化と日本の経済圏へのインパクト
TikTokは、バズの発信源を生み出す尖ったプラットフォームというイメージから次のステップに進もうとしています。企業のマーケティング戦略は、この経済的影響力を無視しては成り立ちません。
TikTok Socio-Economic Impact ReportやTikTok Newsroomから紐解きます。
ユーザー基盤の飛躍的拡大とリーチ力のクリエイターエコノミーの確立
MAU 4,200万突破
2025年11月時点で、TikTokの日本の月間アクティブユーザー数(MAU)は4,200万を突破しました。これは、日本のおおよそ3人に1人に利用されている計算となり、幅広い世代へのリーチ力を示しています。
全世代への影響力
TikTokユーザーの33.9%が商品やサービスを購入した経験があり、50代においても22.8%に影響を与えています。
商品やサービスを調べるツールへ
週に1回以上TikTokを利用するユーザーの23.8%は商品やサービスの情報収集に利用し、飲食店や旅行、料理のレシピを調べるユーザーは18.9%以上に上ります。
クリエイターエコノミーの確立
TikTokを通じて創作活動を行うクリエイターは全国で226万人、活動を通じた推定収益額は1,197億円にのぼるといわれています。
広告出稿企業の増加
クリエイターの影響力増に伴い日本国内でTikTokに広告出稿を行う企業数は48万社を超えたといわれています。
企業の採用活動に好影響
TikTokを活用している中小企業マーケティング担当者の48.5%が採用活動に影響があったと回答しています。
「Best App Award 2025」エンターテインメント部門で優秀賞を受賞
ナイル株式会社が運営する日本最大級のアプリ専門メディア「アプリブ」が主催するアワードにて「コミュニティを活性化させる革新的なプラットフォーム」として高く評価されました。
マーケティングの進化:TikTok広告・プロモーションの変遷
TikTokが発表した2025年のトレンド予測レポートでは、「Brand Chem(ブランド・ケム)」という概念をもとに2025年は、ブランドとクリエイター、そしてコミュニティによる会話、コミュニケーションが生まれるコンテンツを共に構築していくものが成長するとされています。また、AIの活用や「コメントから購入へ」というキーワードも見受けられました。
また、企業がのマーケティング活用において、市場に影響を与えるレベルの新しいプロダクトのローンチが目立ちました。この背景には、TikTokの米国事業売却が大きく影響していると考えられますが、日本としては非常にポジティブな状況であるといえそうです。
1. 「ディスカバリーEC」TikTok Shopが日本ローンチ
2025年6月30日、海外で大きな市場となってきているTikTok Shopのローンチが発表されました。TikTok Shopにおけるマーケティング戦略が他SNSと最も異なる点は認知から購買まで一気に完結させることができるシームレスな購買体験になります。
TikTok Shopと他SNSのコマースの比較

日本におけるTikTok Shopの市場規模
studio15が2025年10月に発表した「TikTok Shop日本市場動向調査レポート」から、初年度(2025年7月〜2026年6月)の市場規模は約500億円に達すると推測されており、また、2025年10月までの実績推定から、売上上位50社における日本セラーの割合は34%というデータがでています。
2025年12月時点では、カネボウ化粧品(KATE)、日清食品、松屋、ヨドバシカメラ、ロート製薬、BEAMS、UHA味覚糖をはじめとした日本の大手メーカーもTikTok Shop出店を開始しており、大きく市場が伸びる可能性が出てきています。
TikTok Shop上位セラーに学ぶ「売上最大化の秘訣」
クリエイターの起用やアカウント運用が直接の購買につながるTikTok Shopでは、一般的なECに求められるマーケティング手法と異なりTikTokの仕様をうまく活用することで成果をあげることが可能です。
・TikTokライクな商品設計、商品選定
ある食品メーカーでは、コンビニやECモールでは販売していない「食べくらべセット」を準備し、価格帯を引き上げつつ割引をかけ、お得に見える商品設計を行っています。このような商品設計を行うことで、クリエイターが動画制作を行う際にテーマや構成を作りやすくなるというメリットもあります。
・長時間LIVE配信 + 切り抜き
あるアパレルメーカーでは、売上に繋がったプロダクトの約68.51%がLIVE配信によるものであり、ほぼ毎日8時間以上の長時間LIVE配信が成果に直結しています。
・投稿量による企画構成最適化
あるガジェットメーカー(ルームプロジェクター)では、売上に繋がったコンテンツの99.5%がクリエイター投稿動画経由であり、小規模クリエイターを多数起用し、「寝ながら見れる夢のシアター」というような視聴者が自分ごと化しやすい企画を横展開する手法で1ヶ月に3,000万円以上(推定)の売上を記録しました。
・ROASベースの広告プロダクト「GMV Max」活用
目標ROASと予算を設定するだけで、オーガニックと広告の両トラフィックを最大化する広告プロダクトであり、特にフォロワー数が少なくても販売数の多いクリエイターなどの露出ブースト用に活用されています。
studio15は、TikTok Shop運用支援に必要な3つの資格を取得しています。出店や運用最適化に興味をお持ちの方は下記よりご相談ください。
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TikTok Shop運用支援サービス
2. TikTokに投稿された観光コンテンツから予約を行える「TikTok GO」の始動
TikTokの宿泊施設などを紹介する動画に予約用のリンクが貼られているのを見たことがありませんか?
実は2025年1月頃よりクリエイター向け「TikTok studio」にTikTok GOタブが追加され宿泊関係の動画にURLをつけることが可能となりました。
TikTok GOはTikTok Shopの宿泊予約版に近いイメージとなります。
海外ではホテルの空室を活用してクリエイターを招待し、動画制作をしてもらうとともにTikTok GOを活用し宿泊予約を促進する取り組みが増加しています。2025年12月現在はそれほど大きな話題となっていませんが、楽天トラベルではいち早くキャンペーンを展開しています。
studio15では宿泊事業者向けのTikTok GO支援サービスを提供しています。
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(宿泊事業者向け)TikTok GO支援サービス
3. TikTokライクかつ、TVCMよりも深いコンセプトをもつ広告クリエイティブ
2024年に実施された広告クリエイティブを対象としたTikTok Ad Awords Japanでは「寝落ち配信」という拡散性の高い企画から多くのUGCが発生した取り組みがグランプリとなりました。TVCMや一般的な動画広告の尺では表現できない「プロダクト」、TikTokだけでなくSNS全体でバズる「コンセプト」、商品との企画の「接点作り、納得感の創出」など、「広告らしくない広告」だけでなく、洗練されたクリエイティブへトレンドが進化しているといえそうです。
また、ショートドラマを軸としたコミュニケーション戦略も定着してきていますが、2025年には、TikTokクリエイターやインフルエンサーをキャストとして参加してもらうことでより大きなエンゲージメントを発生させる取り組みなど、進化していきています。
studio15のショートドラマ事例はこちら
ショートドラマ×クリエイター施策(群馬県庁)の事例
コンテンツトレンドと消費者の変化
2025年のコンテンツトレンドは、アルゴリズムの進化により、ニッチで深い共感に基づくコンテンツが評価されるようになりました。
1. 2025年のコンテンツトレンドを支えるアルゴリズムの進化
ユーザー主導のパーソナライズの強化
ユーザーが「おすすめ」タブから表示されるカテゴリごとのコンテンツ量を自由にカスタマイズできる機能が導入されました。「トピック管理」機能の追加により、ユーザーは特定のトピックに対する関心度を自ら調整できるようになり、増加し続けるAIコンテンツの表示頻度を制御することも可能になりました。(AIコンテンツの制御は日本未実装)
ペアレンタルコントロールの拡充
尖ったコンテンツを特徴とし若年層視聴の長時間化が進むTikTokにおいて、保護者向けのサポートを頻繁にアップデートしています。
2025年3月:休憩タイム機能を導入
2025年7月:トピックを管理機能を導入
評価軸の変化とコンテンツ制作の方向性
エンゲージメントの「質」(視聴時間やシェア数)がより重視され、一律なコンテンツではなく、特定のトピックにフォーカスした、ニッチで質の高いコンテンツがターゲット層に届きやすくなりました。ストーリー性があり、かつニッチなテーマにフォーカス可能なショートドラマは視聴時間が長くなりやすく、またエンゲージメントも高いことから2025年もアルゴリズムと相性の良いコンテンツであったといえます。
2. オーガニック投稿に見るコンテンツトレンドの変遷

楽曲・サウンドトレンド:「ダンス」から「世界観」へ
2024年:「Bling-Bang-Bang-Born」に象徴される「キャッチーな伝播力」
大賞楽曲
「Bling-Bang-Bang-Born」(Creepy Nuts)
特徴
アニメ「マッシュル-MASHLE-」の人気との相乗効果により、圧倒的な総再生回数(74億回以上)と再現性の高いダンスで国内外問わず話題になりました。
傾向
「バズるダンス」と「キャッチーな音楽」というTikTokの音楽に対する方程式を極めた年といえそうです。
2025年:「かわいいだけじゃだめですか?」に象徴される「世界観と新規性」
トレンド大賞楽曲
「かわいいだけじゃだめですか?」(CUTIE STREET)
特徴
新規アイドルグループの楽曲が、世界観の構築とリズミカルな歌詞で大衆を魅了し、TikTokにおけるハッシュタグ「#かわいいだけじゃだめですか?」コンテンツは62,000以上にのぼり、著名な芸能人やインフルエンサーも数多く投稿しています。(2025年12月現在)また、男性アイドルグループ、MiLKの「イイじゃん」のように自己肯定感を左右するキーワード、Z世代に共感をよぶ口語キーワードを用いた楽曲がヒットする傾向にありました。
傾向の変化
IPとの連携だけでなく、TikTokや縦型ショート動画というプラットフォームを前提に作られた新規コンテンツが、爆発的なスピードでメガヒットを生み出せる構造が確立。「音源に感情を乗せる」コンテンツが増加しました。
2025年8月、AERA with Kids Plusに掲載されたCUITIE STREETプロデューサー木村氏へのインタビューからもSNSの文脈をとらえたマーケティングが先行し制作された楽曲がヒットにつながる傾向があることが伺えます。
クリエイターとコミュニティの変化:「エンタメ」から「多様な専門家」へ
2024年:バズコンテンツ、エンタメコンテンツの成熟
フーフー飯店(真上から撮影する動画)のように突然発生するバズによる「TikTok売れ」や、特定の楽曲や構文から発生するエンタメコンテンツやミームなど、「人」よりも「企画自体」が人気となる傾向にありました。
2025年:専門性と内輪コミュニティの台頭
2025年のTikTok Awordsから新設された「Learning Creator of the Year」に見られるように、「特定の分野における専門的な知識の提供」や、多様なジャンルにおける「深い情報が内包されたコンテンツ制作力」がより深く評価の対象へとシフトしており、前述していた「Brand Chem」の思想が反映されつつ、日本においてはTikTok ShopやTikTok GOのような購買につながるプロダクトとの連携が強化されたといえそうです。
まとめ
TikTokにおける2025年は、消費者のトレンドを生み出すSNSとしてだけでなく、ビジネス成長に直結する機能を備えた唯一無二のプラットフォームとして確立された年といえます。
studio15では、企業の求めるゴールと消費者やクリエイターが求めるコンテンツ、両方の知見を持ったメンバーがマーケティングを支援します。
TikTokや縦型ショート動画の活用に興味のある方はお問い合わせください。
【参考文献】
TikTok
TikTok New Room
TikTok Socio-Economic Impact Report 2025〜日本における経済的・社会的影響〜
TikTok Socio-Economic Impact Report 2024〜日本における経済的・社会的影響〜
What’s Next 2025 : Brand Chem
studio15
TikTok Shop日本市場動向調査レポート
朝日新聞出版社
AERA With Kids Plus
インプレス
Web担当者FORUM
<studio15事業概要>

TikTokを中心としたショートムービー(短尺動画)領域で広告代理店事業・プロダクション(事務所)事業を展開しています。2019年1月に設立し、現在、所属クリエイター数210組、総フォロワー数約7,100万人のTikTok公認のMCNに成長し、創業以来、美容・コスメ、ファッション、食品、アプリ等、多くの企業のTikTokにおけるプロモーションをサポートしてまいりました。ナショナルクライアントを含む累計300社以上のPR案件や企業アカウントの運用代行やTikTokコンサルティング、SNSマーケティング支援を行っております。2023年には年間で600件以上のTikTokを中心としたショートムービーの案件を行った実績があります。
■studio15会社概要
所在地:〒154-0024 東京都世田谷区三軒茶屋2丁目11−23 サンタワーズB 棟 8階
設立:2019年1月23日
代表者:代表取締役 岩佐 琢磨
親会社:株式会社セレス(東証プライム市場上場:3696)
Wantedly:https://www.wantedly.com/companies/company_1490059
Instagram:https://www.instagram.com/studio15ig/
TikTok:https://www.tiktok.com/@studio15.inc
X:https://twitter.com/studio15inc
podcast番組『SNSクリエイターズ』:https://podcastranking.jp/1737166286
studio15編集部
studio15はTikTokの認定代理店としてTikTok Shop支援やクリエイタータイアップなどでこれまで300社以上のマーケティングを支援してきました。その実績をもとに企業向けに最新のトレンドやTikTokノウハウをお伝えする情報を発信しています。
