コラム
2026.1.30
政治活動にショート動画は有効?TikTokやYouTube Shorts活用のポイントと構成Tips
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こんにちは!studio15マーケティング担当の吉田です。
政治の世界において、「言葉」は最大の武器です。
しかし、どれほど高邁な理想や緻密な政策を掲げても、それが有権者の耳に届かなければ存在しないも同然です。現在、有権者、特に次代を担う若年層の視線は、街頭演説の拡声器でも、ポストに投げ込まれるチラシでもなく、スマートフォンの数インチの画面の中に注がれています。
皆さんは、兵庫県の斎藤知事や、東京都知事選の石丸伸二さんの躍進など、「SNSやショート動画」が強力な武器となって日本では若者の関心が薄いと言われていた政治や選挙活動に絶大な影響を及ぼしているのを目の当たりにされたのではないでしょうか。
海を渡ればトランプ大統領の再選に役立ったのもTikTokだと言われています。
今、高市総理の高い支持率につながっているのもTikTokやYouTube Shortsなどのショート動画の切り抜きが一つの要因であるようです。
本記事では、現代の政治PRにおいて避けては通れない「ショート動画」の戦略的活用について、その背景から実践的な構成案、さらには法的・倫理的な留意点までを徹底的に解説します。
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1. ショート動画はなぜ政治活動に有効なのか?
かつて政治の情報発信といえば、新聞、テレビ、そして選挙カーが三種の神器でした。しかし、デジタルネイティブ世代が有権者の中心へとシフトする中で、その力学は劇的に変化しています。
SNS利用の主戦場が動画へと移行
現代の情報環境は「情報の過剰供給」状態にあります。テキストベースのSNSであるX(旧Twitter)やFacebookも依然として重要ですが、ユーザーの滞在時間とアテンション(注意)の奪い合いにおいて、現在は動画コンテンツが圧倒的な優位に立っています。
特に、スマホの全画面をジャックする「縦型ショート動画」は、ユーザーの没入感が極めて高く、従来の横型動画(YouTubeの通常横動画など)に比べて視聴開始のハードルが低いのが特徴です。指一本で次々とコンテンツを切り替えるザッピング体験は、受動的な視聴を促進し、政治に関心がない層に対しても「情報を滑り込ませる」隙を生み出しています。
若年層ほど文字情報より動画を好む傾向
今の若年層は「タイパ(タイムパフォーマンス)」を極めて重視します。数千文字の政策論文を読むよりも、30秒の動画で候補者の声のトーンや表情を確認し、その「人となり」を直感的に判断する傾向が強まっています。
心理学において「メラビアンの法則」が示す通り、コミュニケーションにおいて視覚情報と聴覚情報が与える影響は9割を超えます。複雑な政治課題こそ、テキストで説明する前に、動画による「非言語的コミュニケーション」で信頼の土台を作る必要があるのです。
TikTok・YouTubeでの圧倒的な視聴データ
具体的な数字を見ると、その影響力は一目瞭然です。
・TikTok: ユーザーの平均視聴時間は1日あたり約1時間近くに達し、その大半がレコメンド(おすすめ)フィードでの視聴です。さらにYouTubeには及びませんが、ユーザー数は右肩上がりで、日本のMAUは4200万人を超え、今や3人に1人が利用するなどインフラ化が進んでいます。ユーザーの平均年齢も年々上昇し、今や39歳になるなど「若者向けのSNS」と断じれない状況になっています。
・YouTube Shorts: YouTube全体の視聴回数のうち、ショート動画が占める割合は年々増加しており、月間ログインユーザーの4分の3以上がショート動画を視聴しているというデータもあります。
これだけの巨大なトラフィックが存在する場所に、政治家が旗を立てない手はありません。
2. 若年層の支持獲得に必要なメディア戦略とは?
若年層の政治離れが叫ばれて久しいですが、実態は「政治に興味がない」のではなく「従来の政治の届け方に興味がない」だけであることが多いのです。
「偶然出会う」アルゴリズムの力
従来のSNS(特にXやFacebook)は、フォローしている人の投稿が流れてくる「ソーシャルグラフ」に基づいた設計でした。しかし、TikTokやYouTube Shortsは、ユーザーの興味関心をAIが分析して未フォローのコンテンツを届ける「インタレストグラフ」を採用しています。
この違いは、政治PRにおいて革命的です。
・従来: すでに支持している人、またはアンチにしか届かない(エコーチェンバー現象)。
・ショート動画(特にTikTok): 政治に全く興味がなく、普段はダンス動画やグルメ動画を見ている層の画面に、突如として政治家の動画を出現させることが可能。
この「セレンディピティ(偶然の出会い)」こそが、新規層開拓における最大の武器となります。
「バズる」可能性が全候補者に平等にある
ショート動画のアルゴリズムは、アカウントのフォロワー数に関わらず、コンテンツ単体の「初動の反応(視聴完了率やいいね率)」を重視します。そのため、新人候補者であっても、企画の切り口一つで数百万再生を叩き出し、一晩で全国区の知名度を得るチャンスがあるのです。これは、資金力や組織力に乏しい政治家にとっての「ジャイアントキリング」の舞台と言えるでしょう。
実際に政治の世界だけでなく、ビジネスの世界でもTikTokなどのショート動画が注目され、中小企業や知られていなかった商品、人物でも大ヒットを飛ばせる、バズれる要因です。
3. TikTok・YouTube Shortsの政治活用で押さえるべき構成のポイント
ショート動画は、通常の動画制作とは全く異なる「作法」が求められます。
「リアル」を届ける切り抜き・縦型ハイブリッド戦略
広告感やPR色を徹底的に排除し、視聴者がつい手を止める「生の情報」を届けます。街頭演説や普段の活動など、既存の映像素材を活用した「切り抜き」スタイルをベースに、親近感のある構成を目指します。
理想はスマホ全画面の縦型(9:16)ですが、何より優先すべきは「内容の面白さとリアリティ」です。横型動画の切り抜きであっても、テロップ配置を工夫することで十分にバズを生み出すことは可能です。まずは形式にこだわりすぎず、投稿数を確保して「視聴者に刺さる勝ちパターン」を早期に特定します。
冒頭3秒に全神経を集中させる
ショート動画において、最初の3秒(あるいは1秒とも)でユーザーの指を止められなければ、その動画は存在しないも同然です。
・NG: 「皆さんこんにちは、〇〇党の〇〇です。今日は……」という丁寧な挨拶。
・OK: 「なぜ日本の給料は上がらないのか?その衝撃の理由を話します」という結論や問いかけからのスタート。
挨拶や自己紹介は後回しにするか、テロップで処理するのが定石です。
「音」でノセて「テロップ」で刺す、視聴体験の最大化
TikTokはInstagramとは異なり、「音あり視聴」がデフォルトのプラットフォームです。BGMのリズムや話し手の熱量を主軸に置き、聴覚から視聴者の心を掴む構成を徹底します。
テロップは単なる無音対策ではなく、「音と映像のシンクロ率」を高めるための演出デバイスとして活用します。重要なフレーズを音のタイミングに合わせて強調(サイズ・色・エフェクト)することで、情報の浸透度を劇的に高め、最後まで飽きさせない「中毒性」を生み出します。
一方、Instagramは音あり視聴は少ないのでテロップが重要視されます。
4. 成果につながる動画制作の5つのTips
ここでは、実際に動画を制作する際に即座に活用できる、具体的かつ実戦的なTipsを紹介します。
【Tip1】冒頭3秒で視聴者の関心をつかむキャッチフレーズ
視聴者は「自分に関係があるか」を瞬時に判断します。
・ベネフィットの提示: 「この動画を見れば、あなたの税金がどう使われているか分かります」
・意外性の提示: 「実は、学校の給食費を無料にするのは、それほど難しくありません」
・共感の呼びかけ: 「毎日残業して、手取りこれだけ。おかしいと思いませんか?」
このように、主語を「私(政治家)」ではなく「あなた(有権者)」に設定することが肝要です。
【Tip2】1テーマ1メッセージでシンプルに
政治家はついつい多くの政策を語りたがりますが、ショート動画でそれは禁物です。「少子化対策もやりたい、減税もやりたい、外交も……」と詰め込むと、結局何も印象に残りません。
「1本の動画では、1つのことしか言わない」というルールを徹底してください。
これはショート動画だけでなく、ビジネスの世界でも重要視されている不変の原理です。
アップルの創業者であるスティーブ・ジョブズが当時の広告にいろんな機能を詰め込みたいと言ったところ、くしゃくしゃに丸めた紙を同時に5つ投げられて受け取れず、「人は同時に複数のメッセージを受け取ることはできない。その紙のように。だからCMで伝えるのは1つだ。」と言われたのは有名な話です。
ショート動画でも同様のtipsが役立ちます。
【Tip3】余白や間をカットしてテンポよく編集
ショート動画の世界では「無音」や「言い淀み」は離脱の最大の原因です。
「えー」「あのー」といった不要な言葉(フィラー)はもちろん、言葉と言葉の間のコンマ数秒の空白も全てカットする「ジャンプカット(ジェットカット)」を多用してください。少し急ぎ足に感じるくらいのテンポが、ショート動画では心地よいリズムを生みます。
また、話す時もできるだけ早口で話すように努めましょう。
【Tip4】有権者の共感を誘う「ストーリー」を含める
数字や論理だけで人は動きません。
「〇〇という政策を進めます」と言うだけでなく、「先日お会いした一人親世帯のお母さんが、涙ながらにこうおっしゃいました。だから私は、この現状を変えたいんです」という個人的なエピソードや感情を乗せてください。政治家の「熱量」や「人間味」が見えたとき、視聴者は初めて「フォロー」ボタンに指を伸ばします。
【Tip5】字幕やタイトルで視認性を確保
スマートフォンの画面は小さいため、フォントサイズは思い切って大きくしましょう。
また、動画の上部に「常に表示されるタイトル(帯テロップ)」を設置するのも有効です。これにより、ユーザーがスクロールしている最中でも、その動画が何のテーマなのかを一瞬で伝えることができます。
5. 公職選挙法と動画活用の注意点
日本の選挙制度において、インターネット活用は「公職選挙法(公選法)」の厳しい制約下にあります。
制作委託と報酬支払いのリスク
最も注意すべきは、動画制作の「外部委託」です。
・原則: 選挙運動期間中、選挙運動のための動画制作を有償で業者に依頼し、その業者が「企画立案」などの主体的な広報業務を行うことは、報酬を伴う選挙運動(買収)とみなされるリスクがあります。
・回避策: あくまで「機械的な作業(編集代行)」に留めるか、政治家本人の指揮監督下で行う必要があります。実態として、構成案を政治家側が作成し、素材を提供した上で、編集作業のみを作業代行として発注する形式が一般的ですが、最新の判例や総務省の見解を常にチェックする必要があります。
「政治活動」と「選挙運動」の区別
・政治活動: 平時における政策の普及や政党の宣伝。
・選挙運動: 特定の選挙において、特定の候補者の当選を目的として投票を呼びかける行為(選挙期間中のみ解禁)。
ショート動画においても、選挙期間外に「私に投票してください」と述べることは事前運動として禁止されています。あくまで「政策を知ってもらう」「政治に興味を持ってもらう」というスタンスを維持することが法的リスクの回避に繋がります。
ただ、選挙期間中は候補者本人がSNSで投票を促すのは問題ないとされているので、ライブ配信などを活用することで視聴者との一体感やリアル感を演出することが可能です。
一方、自身の発言に自信がなく、ライブ配信がリスキーだと感じる場合には、スピード感こそ失われてしまいますが、きちんと編集した動画を投稿するようにしましょう。
6. フェイク動画・AI加工への対策は必要か?
生成AIの普及により、政治PRの現場には新たな脅威が生まれています。
アルゴリズムと極端な内容の親和性
ショート動画のアルゴリズムは、エンゲージメント(反応)を重視します。そのため、過激な言動、対立を煽る内容、あるいはセンセーショナルなフェイクニュースが拡散されやすい構造を持っています。意図せずとも、切り抜き動画によって発言の一部が歪められ、不本意な形で「炎上」するリスクは常に付きまといます。
第三者による切り抜き・加工動画への対応
自身の発言がAIによって加工され、虚偽の情報を発信しているかのようなディープフェイク動画が流布される可能性も否定できません。
これに対する最大の防御策は、「公式チャンネルによる継続的かつ誠実な発信」です。日頃から本人による発信を積み重ね、フォロワーとの信頼関係を築いておくことで、偽情報が流れた際に「これは本人のスタイルではない」という自浄作用が働くようになります。
ファクトチェック体制の構築
万が一、誤った情報や悪意ある加工動画が拡散された場合に備え、即座に反論・訂正できる体制を整えておくことが、デジタル時代の危機管理の要諦です。
候補者個人の「人となり」を動画で伝える
政策の正しさも重要ですが、ショート動画においては「この人は信頼できそうだ」「この人の考え方は好きだ」という直感的な好意が先行します。
時には、議会での真剣な表情だけでなく、地元のお祭りに参加している様子や、事務所での何気ない日常の風景を切り取ることで、政治家という厚いベールの裏側にある「一人の人間としての魅力」を伝えていくことが、結果として強固な支持層の形成に繋がります。
まとめ:エンゲージメントと信頼を両立する情報設計
これからの政治家にとって、ショート動画は「オプション(選択肢)」ではなく「マスト(必須)」のインフラです。しかし、バズることだけを目的にして品位を欠けば、一時的な注目は得られても、長期的には政治家としての信頼を失います。
「スピード感のある編集」と「重みのある言葉」。この一見相反する要素を高い次元で両立させたとき、あなたのメッセージはスマホの画面を突き抜け、有権者の心を動かす一票へと変わるはずです。
あわせて読みたい:TikTokのプラットフォーム構造と運用事例の体系的理解
TikTokの特性を深く理解し、戦略に落とし込むためのリファレンスとして「公式アカウント運用支援事例集」が役立ちます。
この資料では、TikTokが何かという本質的な理解から、ビジネスの分野ですが、実際に成果を上げた5社の具体的な運用ケース、そして専門機関であるstudio15が培ってきた知見の全体像までを体系的に網羅しています。
そのまま事例を活かすというよりも、運用上の壁を突破するための論理的な解決策を見出すためのガイドとしてご活用ください。
studio15編集部
studio15はTikTokの認定代理店としてTikTok Shop支援やクリエイタータイアップなどでこれまで300社以上のマーケティングを支援してきました。その実績をもとに企業向けに最新のトレンドやTikTokノウハウをお伝えする情報を発信しています。
