コラム
2026.6.23
TikTokが日本にもたらす経済効果の推移と今後の展望
- CONTENTS
拡大を続けるTikTok経済圏
こんにちは、studio15でマーケティングを担当している阿部です。
TikTokは日本でサービスを開始して以来、若年層中心のエンターテインメントアプリから、全世代の消費行動や意思決定に影響を与える巨大なプラットフォームへと進化しました。
2024年から年に1回、TikTok Japanが発行している経済的・社会的影響をまとめた調査レポート「TikTok Socio-Economic Impact Report」に掲載されているデータを読み解くと、TikTokのコンテンツがもたらす影響が、企業のマーケティング、地方創生、そして消費者の態度変容〜購買行動へ寄与していることが示されています。
本記事では、過去3年間(2023年〜2025年のデータ)の調査結果を総括し、TikTokによる経済効果の推移、その成長を牽引しているポイントを三つにまとめ、将来的なプラットフォームの展望についても詳しく解説します。
データで見るTikTokによる経済効果の推移(2023年〜2025年)

TikTokが生み出す経済的価値は、消費額、名目GDP貢献額、そして雇用の3つの主要指標において、年々着実かつ大幅な成長を遂げています。
推定消費額の継続的な増加
TikTokの動画視聴を起点とした国内の推定消費額は、2023年の1,772億円から2024年には2,375億円、そして2025年には3,468億円へと急拡大しました。
特に2024年から2025年にかけては前年比+46%という驚異的な伸びを記録しています。
この3,468億円という規模は、国内の音楽ソフト・音楽配信の年間売上規模(約3,988億円)に肉薄する水準であり、すでに確立された巨大市場に匹敵する「数千億円規模」の消費をTikTok単体が生み出していることになります。
国内名目GDPへの貢献額の推移
消費の増大に伴い、企業の広告出稿や動画制作といった関連支出(間接的影響)、さらには他産業への波及効果(誘発的影響)を合算した「国内名目GDPへの貢献額」も大きく成長しています。
2023年:約4,741億円
2024年:約4,855億円
2025年:約6,800億円
産業別に見ると、特に「金融・保険」分野の伸びが顕著であり、NISAなど資産形成への社会的関心の高まりとショート動画の相性の良さが数字に表れています。
また、「個人向けサービス(飲食や美容など)」や「旅行・レジャー」といった対面型産業への波及も非常に大きく、直接的な名目GDP貢献額の上位を占めています。
国内雇用者数への影響(創出効果)
「TikTok Socio-Economic Impact Report」では雇用創出における影響力に関する調査データも公開されています。
TikTokを起点として国内で新たに生まれたとされる雇用者数は、2023年の2.6万人から、2024年は4.2万人、2025年には5.2万人へと増加し続けています。
来店客や宿泊者の増加に伴い、接客・運営スタッフの増員が必要となる飲食店や美容室・エステなどを含む「個人向けサービス」、「宿泊分野」の雇用効果が特に大きいとされています。
中小企業の成長ドライバーとしての機能
日本の産業を支える中小企業にとっても、TikTokは重要な成長ドライバーとなっています。
中小企業への直接的な名目GDP貢献額は、2023年の606億円から2025年には1,282億円へ倍増しました。
雇用面でも、2023年の5,300人から2025年には1.1万人の中小企業の雇用が創出されたと推計されており、大企業のみならず地方の中小事業者にも恩恵が広く行き渡っています。
この背景には、フォロワー0からでも一定の露出が担保され、視聴者の反響により大きなバズを埋める強力な「レコメンド機能」を持つTikTokだからといえます。
TikTokの経済成長を牽引する3つのポイント
TikTokを起点とした経済効果が拡大している背景には、消費者の行動様式を変える3つの重要な要素が存在します。
①TikTok Shopが実現する「ディスカバリーEコマース」の確立
2025年の消費額とGDP貢献額の大幅な伸長を牽引した最大の要因が、2025年6月末に日本でローンチされた「TikTok Shop」です。
これは、出店企業やクリエイターが動画やLIVE配信で商品を紹介し、ユーザーがアプリ内にとどまったまま購入まで完結できる機能です。
従来のECサイトが「欲しいものを検索して買う」場であったのに対し、TikTok Shopは「コンテンツの中で商品と偶発的に出会い、共感してその場で購入する(ディスカバリーEコマース)」という全く新しい購買行動を生み出しました。
出店企業の満足度は92.3%に達しており、特に「従来の商圏を越えた認知拡大」や「地方に立地したまま全国に販路を広げられた」といった効果が報告されています。
認知から購買までの分断がなくなったことで、地方の特産品や中小企業、オフラインでは見かけることのないD2Cブランドなどが、短期間で数100万円から1,000万円を超える売上を記録する事例が出てきています。
TikTok Shopの成功事例はこちら
バッカス「ピットソール」のTikTok Shop事例
②地方創生・観光への波及と「TikTok GO」による行動の直結
旅行・観光領域におけるプラットフォームの影響力も劇的に進化しています。
動画による視覚的・直感的な情報発信は、旅行先の魅力伝達と非常に相性が良く、2025年のデータでは、紹介されたスポットを実際に訪れたユーザーの割合が33.5%に達しました。
実際に、リクルート社と駒沢女子大学が行った調査では、「旅行先を探すツール」としてTikTokの優先度が2年間で2倍以上増加しているデータが出ています。
※出典:株式会社リクルート、駒沢女子大学「Z世代女子を対象にした「旅マエ」に利用するメディア調査-2024年度版-」
さらに、2025年には動画から直接宿泊施設や体験の予約ができる「TikTok GO」が開始されました。
これにより、従来の「検索→比較→予約」という煩雑なプロセスが解消され、「動画を見て行きたいと思った瞬間に予約する」行動が強力に促進されています。
和歌山県や香川県(瀬戸内国際芸術祭)で実施された「TikTok Connect By Tourism」などの公式プロジェクトでは、クリエイターによる独自の視点を通じた発信が、数十億円規模の観光消費と経済波及効果を地域にもたらしたことが実証されています。
studio15においても2026年4月に一般社団法人小樽観光協会(以下、小樽観光協会)、株式会社ぬるぬると連携し、小樽での宿泊促進を目的としたTikTok GOを活用したクリエイター撮影会を実施するなど、TikTok上での旅行、観光コンテンツの創出を行っています。
TikTok GOの施策事例はこちら
小樽の宿泊促進を目的としたクリエイター撮影会の実施
3クリエイター経済圏の成熟と多様化する役割
TikTok経済圏の核となるクリエイターの活動基盤も成熟しています。
2025年に活動した国内クリエイター数は235万人、推計収益額は1,389億円に拡大しました。
これまでの企業案件、PRだけでなく、再生数に応じた報酬制度(Creator Rewards Program)、LIVEサブスクリプション、TikTok ShopやTikTok GOのアフィリエイトなど、収益源が多様化し、単一の収入源に依存しない持続可能な活動環境が整っています。
投稿内容のカテゴリも変化しており、「旅行・Vlog」「ニュース・社会問題」「教育・学習」といったジャンルが大きく伸びています。
studio15においても、所属・提携クリエイターへの報酬還元額が2年間(2024年〜2025年)で3,750%に成長しています。
※出典:FOR CREATORS – studio15 クリエイター様向け資料 –
クリエイター自身が、単なるエンターテインメントの提供者から、地域振興や社会課題の解決を担う役割を自覚し始めており、発信の内容に深みと多様性が増しています。
※TikTokクリエイター初!studio15所属「まみすけ。/ただの長野県民。」が令和8年度 長野県広報パートナーに任命
また、中国においては映画の興行収入を超えた市場規模となっているショートドラマも、クリエイター経済圏の成長に大きく起用していくと考えられます。
ショートドラマでのタイアップに関するコラムはこちら
ショートドラマでモノは売れるの?
展望:TikTokは今後どのようになるか
これまでの推移とユーザーの利用実態の変化から、TikTokは今後、以下の3つの方向に進化していくと予測されます。
「流行の発信地」と並列した「生活のインフラ・購買基盤」への定着
ユーザーの意識調査において興味深いのは、TikTokに対して「流行っている」というイメージを持つ人の割合が徐々に低下している(2024年45.0%→2025年36.3%)ことです。
これはプラットフォームの衰退を意味するのではなく、利用者が全世代に広がり、利用頻度が上昇(週1回以上利用ユーザーの64.0%がほぼ毎日視聴)する中で、TikTokが「特別なトレンドを追う場所」だけでなく「日常的に実用的な情報を得る生活のインフラ」へと成熟・定着していることを示しています。
TikTok Shopの普及もあり、今後は日常的な主要購買チャネルの一つとして、消費生活にさらに深く根付いていくでしょう。
クローズドループ(「動画視聴」から「買う・行く・参加する」)への加速
TikTok Shopでの購買やTikTok GOでの旅行予約に見られるように、プラットフォーム上で「情報を発見する」だけでなく、アプリから離脱することなく「行動を完結させる」動きがさらに加速します。
これにより、企業や自治体にとっては「認知やバズの獲得」をゴールとするフェーズから、「直接的な売上獲得」や「来訪者数の増加」といった明確な態度変容をKPI、KGIとした、一気通貫のマーケティング活動が主流になっていくと考えられます。
社会課題や公共コミュニケーションの新たなメディアとしての確立
エンターテインメントや消費活動だけでなく、社会的な役割も拡大します。
ユーザーの45.9%が「TikTokをきっかけに社会課題や時事問題へ関心を持った」と回答しており、ニュースを調べて家族や知人と対話するきっかけになっています。
今後は、地方自治体の移住促進、選挙・政治家による有権者とのコミュニケーション、文化や学術の普及など、より広範な公共領域において、情報を「自分ごと」として捉えさせる強力なメディアとしての活用が本格化すると予測されます。
まとめ
2023年から2025年にわたる3年間のレポートデータから、TikTokは日本国内において単なる動画アプリの枠を超え、数千億円規模の名目GDPと数万人の雇用を生み出す強固な経済圏を構築したことが確認できました。
「TikTok Shop」や「TikTok GO」といった行動に直結する新機能の拡充と、多様な分野で活躍するクリエイターの力が組み合わさることで、大企業から地方の中小事業者まで、日本経済の新たな成長エンジンとしての役割は今後さらに重要性を増していくでしょう。
※データ出典
TikTok Socio-Economic Impact Report 2024〜日本における経済的・社会的影響〜(2024年5月発行)
TikTok Socio-Economic Impact Report〜日本における経済的・社会的影響〜(2025年6月発行)
TikTok Socio-Economic Impact Report〜日本における経済的・社会的影響〜(2026年6月発行)
studio15は2019年というTikTokマーケティング黎明期、まだまだ懐疑的といわれた時期よりTikTok特化型マーケティング支援企業としてByteDance社と連携し活動しています。
発見、認知から共感を呼ぶショートドラマやクリエイターとのタイアップ+広告配信、購買や予約に直結させるTikTok ShopやTikTok GO活用、Z世代の採用を促進するためのアカウント運用など、目的に合わせ最適なご提案、伴奏支援を行っております。
現状のマーケティングに課題感をお持ちの方や施策に興味のある方はお問い合わせください。
studio15編集部
studio15はTikTokの認定代理店としてTikTok Shop支援やクリエイタータイアップなどでこれまで300社以上のマーケティングを支援してきました。その実績をもとに企業向けに最新のトレンドやTikTokノウハウをお伝えする情報を発信しています。
